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だるま [小さな出来事]

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現在めぎ家には、だるまに一つ目を入れて達成に向けて頑張っていることがある。
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↑なんだか必死に歯を食いしばっている表情だわね・・・

歯を食いしばってギリギリさせながら頑張っているというのは、うちのドイツ人の煙草をやめるという試み。煙草をやめようかなという話が突然うちのドイツ人の口から出たのは12月中旬過ぎ、ボルネオ旅行の直前だった。ダイビング講習を受けることにしたときに、健康チェックがあって、45歳以上で煙草を吸っている場合は医師の診断書が必要だとのことだったのだが、診断書をもらいに行く暇がないのでそれじゃ煙草をやめればいいかな、と言い出したのだ(いや、それはそういう問題じゃないと思うんだけど)。それを聞いたとき、めぎはもちろん冗談だと思ったし、彼もふざけて言っている様子だった。しかしそれがきっかけだったのか何がどうきっかけになったのか知らないが、ボルネオ旅行に出発したその瞬間から、彼は煙草を吸うのをキッパリぱったりやめたのである。
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飛行場でチェックインしてから一度外に出て最後の煙草を吸うのがいつもの習慣だったのに、そう言えばそれをしないまま手荷物検査のところに入ったなあ・・・とめぎがふと気がついたのは飛行機に乗ってから。その後イスタンブールでの乗り換えの時にも喫煙所を探さず、クアラルンプールでも喫煙所の前をただ通り過ぎ、そこで思い切って尋ねてみたら、やめたのだと言う。いつも吸っている煙草を一切持ってこなかったというのだが、まあそうは言っても旅行中にどこかで買ってまた吸い始めるんだろうとめぎは思っていた。10年前にハワイに行ったときも、喫煙所の少ないアメリカに行くのを機会にやめるといってチャレンジしたが、旅行中に数回我慢出来ず買って一本吸って捨てるというのを繰り返し、帰国後数日経ってあっけなく敗れたことがあったので、またそんなもんだろうと思っていたのだ。
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今回は旅行中一度だけ、もうダメ、買いに行く!と出て行ったが買わずに踏みとどまるということがあったが、2週間+4日間一本も吸わず踏み堪え、ここまで頑張ったのだから絶対にやめると意気込んで帰宅した。そして帰宅してからも何度か発狂しそうになっていたが、たったの一本でここまでの苦労が水の泡、というのが支えになって、今日まで見事に6週間以上完全禁煙している。よくもまあここまで続いたものである・・・なにしろ還暦のうちのドイツ人にとって煙草とのつきあいは45年で(ドイツでは16歳から喫煙OKだが、1年多いのは、うん、まあ、ごにょごにょ、うふふ)、この世の誰よりもつきあいが長いのだ。親とだってそれぞれ6~7年程度しか一緒に暮らしたことが無く、妹とだって13年くらい、最も一緒に暮らしたのが長いめぎとだってまだ14年。煙草はそれより30年も長いのだ。それをやめるのだから、その決別は生涯に決別するようなものである。大袈裟だけど、それまでの人生のあり方に終止符を打つという意味で、本当に大きな決別である。心の中にぽっかりと失恋というか大きな穴が開いているような感じなのだとか。
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旅行中は非日常の世界にいるから、喫煙もそれほど難しくはなかったようだったのだが、うちに帰ってきてからが大変だった・・・なにしろ、いつも煙草を吸っていた場所があって、そこに来るとやっぱり思い出す訳だし、さらにいつも喫煙したタイミングというのがあって、その生活のリズムが崩れたのだから、リズムそのものを作り直さなければならない。この仕事が終わったら一服、ちょっと煮詰まったから一服、このしんどいのを終わらせたらご褒美に一服、しんどいからちょっと逃げに一服、という風なリズムが無くなるというのがどういうことなのか、煙草を吸わないめぎにはどうもピンと来ないが、とにかくその休憩時間が無くなったのがものすごく大変なことらしい。どうやって休んで良いか分からないし、どうやってやり遂げた達成感を祝ったらいいか分からないと言うのだ。したがって彼は非常に精神不安定になり、結構仕事に影響を及ぼしていたので、それじゃ吸えばいいじゃない?とめぎなどはめんどくさく思ったのだが、うちのドイツ人が言うには、彼は次のことに気がついてしまったのだという・・・煙草を吸えば確かにしんどさを忘れられたり、ご褒美だと感じたり、一息つけたりするのだが、実際は吸っているときだけ休んでいるのであって、というか休んでいるのではなく吸っているのであって、吸うという動作をしているから嫌なことを忘れてリフレッシュしている気になっているけれど、吸い終わったら嫌なことはそこにそのまま存在している訳で、したがってそのリフレッシュというのはイルージョンに過ぎない、ご褒美だって本当は仕事をやり遂げてフリーになったそのことこそがご褒美のはずなのに、煙草を吸うという行為に縛られて完全フリーじゃない、しかもその吸っているものはどう言い訳しようと毒であり、汚くて臭いニオイをまき散らすもので、しかもしかもそれを売って儲けているのはあんな会社とこんな会社で・・・というわけで、彼は煙草に見切りをつけた、というか見切りをつけたいと努力しているところなのだ。6週間経って、歯が白くなったとか、咳が減ったとか、良いことも感じているようだが、仕事の後とか食事の後とか、未だ辛い瞬間があるようだ。辛さを6週間乗り越えられたのは、上記のような考えの上に、吸いたくなってもその場を離れて別のことに取り組めばすぐ頭が切り替わってその吸いたい気持ちを忘れられるということに気がついたから、煙草を吸うことでかつて埋めようとした穴に今向き合おうという覚悟が出来たから、等々。
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しかし、本人も結構大変な努力をしているのだろうが、周りにいる人・・・うちのドイツ人の場合はめぎ・・・にとってもこれは結構大変なことである。煙草をやめてから彼は妙にニオイに敏感というか過敏になって換気ばかりして寒いし、想像以上に気分の浮き沈みが激しく、煙草がどれほど精神安定剤になっていたかがよく分かる。大袈裟だが、煙草のないうちのドイツ人に新しく出会って、新しい彼と新しい関係を築いているようなものである。まだどういう人物かよく分からず、手探り状態。めんどくさくて、お願いだからまた喫煙して元通りに戻って頂戴、と思うことさえある。もしこれでまた元の木阿弥になったら、ホントめぎのここまでの苦労もバカみたい。そう思うほど、ハッキリ言ってホントしんどい。子育てで、よくないと知りつつも静かにさせるためにスマホを渡す、という話があるけれど、その気持ちよく分かる。健康によくないとは知っているけど、煙草を吸っていてくれた方がどれほど楽かと思う。こちらもこの14年間で培ったリズムを大いに崩されて大変なのだ。でも、本人がこれほど望んで頑張っているのだから、キレずに支えてやらねば。如何に大変かという同じ話を何遍も何遍も聞いてやらねば(これは歳の所為もあるかも知れないが)。それがまあ夫婦というものなのかも知れない。
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統計によると、煙草をやめようとした人が半年以内に再び吸い始める確率は97%なのだとか!ひぇ~それはほぼ不可能ってことね。うちのドイツ人はたったの3%に入るような特別な人間になれるかしら・・・今のところうちのドイツ人は3か月経ったらこのダルマさんにもう一つの目を入れるつもりだそうだが、果たして。今や、ダイビング云々でではなく、気管が年々弱ってきたのをなんとかしたいというのと、還暦を機に縛られていたものから解放されたいというのが大きな動機になっているようだが、さて、今後は如何に。これまでのところ成功しているのは、煙草を吸う友人に会っていないと言うことが大きいかも知れない。ハワイから戻ったときは、煙草を吸う友人と会ったときに我慢できなくなったのだった。今週は煙草を吸う同僚との仕事が入っているけれど、さて、どうなるかしらね。
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↑これ、実は14年くらい前にめぎがうちのドイツ人にプレゼントしただるまなのだが、彼はこれを長い間仕舞っていた。それは、これを使うときはその時、と決めていたからだという。だるまさん、出してもらえて良かったね。よろしくお頼みしますわ。


撮影: D600 + 58mm(F1.4)、Nikon 1 V3 + 18.5mm(F1.8)
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