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空振りの遠出 [ザクセン&ザクセン・アンハルト]

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現在、今年の夏旅の話を連載中。

義母の家を訪ねたのは、もともとは、うちのドイツ人の家系調査のため。母方の祖先の様々な記録を集め、母親の語るお伽噺的な伝説ではなく、本当の歴史を知りたいがために行っている調査なのだが、なにしろ祖先のまた祖先の記録を遡って調べているので、誰がどこで生まれてどこで洗礼を受けた云々というのは、教会の記録や公文書をたどるしかない。幸いにもドイツという国と教会は昔の文書を割とちゃんと保存している国で、戦争で焼失または紛失していない限りは、一代一代遡っていけばちゃんとどこかに記録があるのだが・・・と言っても目まぐるしく国が変わり、さらに洗礼の記録は国とは関わりなく教会の区分になるためなかなか一筋縄では調べがつかないのだが・・・その記録の一つがこの町にあるという事で、車で40分ほどかけてやってきた。
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↑上の写真は、ドレスデンから40kmほどのKamenzという小さな町のマルクト広場。向こうに見えている赤い建物が市役所。

これは、誰のか分からない真ん中の銅像の噴水の水。
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この町の公文書保存資料室のようなところに、10時に予約を入れてあった。事前に義母が電話で祖先の生まれた場所や住んでいた場所で問い合わせ(その場所は、その一代後の祖先の洗礼の記録に両親の情報として書かれているので分かるのだが)、この町に保管されている、との回答だったらしい。この町に来れば、その祖先の情報、例えば洗礼の記録や、何を生業としていたかとか、当時その人が住んだ地域はなんという国で、彼はどの軍隊に所属していたかとか、家族構成とか、いつまで生きたかとか、そういう記録を見ることが出来るはずだった。
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ところが、そこへ行ってみると、その人間の記録はここには無いと言われたのだった。問い合わせたはずの祖先の生まれたところや住んでいたところは、このKamenzでは扱っていない、別の町だ、と言われたのである。その別の町がどこなのかは再調査しなければワカラナイとも。

はぁ・・・?????

義母は祖先の生まれた町の名前を間違って電話で伝えたのだろうか?どうしてこんな行き違いが??

そんな訳で、見られるはずのもの・・・ものすごく楽しみにしていた古文書を見る楽しみが夢と消え、狐につままれたような不思議な気持ちで、めぎたちはとりあえずそこにあった教会の中に入った。
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あれこれ写しつつも、この事態がなかなか呑み込めず、イマイチ撮影に没頭できない。今頃古い手書きの書類を撮影しているはずだったのになあ・・・なんのためにここにきたんだろう?
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めぎはともかく、うちのドイツ人の落胆は大きかった。
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いったい何のためにわざわざこんな東まできたんだろう!?
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子どもの頃から今までの様々な経緯から、うちのドイツ人は特に母親に会いたくて懐かしくて訪ねて来ている訳ではないのだ。母親の健康状態を心配して来た訳でもないのだ。うちのドイツ人が恋しい「母」はこの世に存在せず、いるのはこの、常に息子の期待を裏切る母親だけ。またしても、今回も、息子の希望は叶わなかった。これは、大きな大きな出来事だった。

これは、たまたま起きた事故なのかも知れない。白内障を患った義母が、きちんと確認せず間違って町の名前を読み上げたのかも知れない・・・等々と、あれこれ理由付けも出来るかも知れないが、いつもはかなり聡明な義母なのに、どうしてこんな初歩的なミスが起きたのだろう?たぶん、彼女はこの調査に乗り気じゃなかったのだろうな。だって、お伽噺がだんだんと現実を暴露され、家系は伝説でもロマンチックでもご立派でもなく、歴史上の事とは言え色々と知りたくなかった事まで暴かれるのだもの・・・無意識にも、もうこれ以上調査させたくなかったんだわね、きっと。
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当の義母は、変ねえ・・・と言っただけで、謝りもしなければ、もちろん残念がってもなく、喉が乾いたわね~お茶の出来るところでも探しましょ、と。

という訳で、めぎたちは町の中心部のマルクト広場に面したこのホテル兼レストランのテラス席で、ぼんやりとお茶したのだった。
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たまたま、目の前でこの若者がポケモンGOをやっていた。うちのドイツ人、「化け物ならここにいるよ~」と母親を指さした!
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義母は大笑いして上機嫌だった。

この古い古い小さな町、もう二度と来ないと思うけど、きっと一生忘れないわ。
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この後めぎたちは、うちのドイツ人が予め調べてきたこの町の郊外の美味しいレストランで昼食を取った・・・と言うのは、古文書を見る手続きをしてくれた母親に御礼の気持ちで美味しいお昼を御馳走するつもりだったので・・・。たしかに美味しかったけど、それは救いだったけど、ただ散財しただけでなんだか浮かばれない気分のまま、義母の家に戻ったのだった。


撮影: D600 + 24-70mm(F2.8)
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コメント 7

Baldhead1010

雨の少ない北海道、台風の影響で洪水被害が出ています。
by Baldhead1010 (2016-08-19 04:29) 

ナツパパ

ご主人、楽しみにしてらしたのでしょうね。
それだけに落胆も大きかったのは、分かります。
しかもご自身のミスではないのだからなあ。
よくぞ、自制されましたね。
by ナツパパ (2016-08-19 08:54) 

テリー

家系をさかのぼるというのは、面白そうですね。
祖先の記録をたどって、知らない町を旅行するのも、いいですね。
結果は、うまくいかなくても、途中のわくわく感は、あるでしょうね。

by テリー (2016-08-19 13:12) 

engrid

落胆のお気持ち察し申し上げます
旅の目的が、霧散してしまわれたのですから
義母様とのすれ違いなお気持ちも、、

by engrid (2016-08-19 18:24) 

mimimomo

日本と違ってかなり複雑な家族模様というか人間関係。
自分史をさかのぼるのも大変なんでしょうね。兄も退官後は
わが家計のことを調べていましたよ^^
日本の場合はお寺ではあまりわからなくて、お墓などを調べたり
したみたい。
by mimimomo (2016-08-19 20:19) 

Bonheur

残念でしたね…
たとえ誰のせいではなくとも、気持ちのやり場がないですよね…
お義母さまのレストランでのお食事会、もう2年前のことなんだなあ、と驚きながら過去記事を再確認しておりました。
あの記事を拝見してから、マイセン食器=めぎさんのご親族、という印象がインプットされていました。
2年前のお義母さまご訪問の時と、今回とでは随分と記事のトーンが違うな、と思いましたが、こういった背景があるのですね…
by Bonheur (2016-08-19 22:40) 

Inatimy

遠くから運転してやってきたことも、電話で予約も入れたことも、
全てが打ち砕かれてしまったんですね・・・。
目の前にまで近づいていた光が一気に消え去ってしまったような
大きなショックですよね。
他の糸口が見つかって、ご先祖さまをたどれるといいけれど。
by Inatimy (2016-08-19 23:08)